ブレーキパッド交換
普段からチェックすることが大切
ブレーキパッドはディスクブレーキを構成する部品で、ブレーキキャリパーのピストンで押し出され、ブレーキディスクに押しつけられることによって車を制動する役割を担っています。
車の走行によって徐々に消耗していき、無くなってしまうと車を停止させることが出来なくなるため、指定された残量に達したら交換することが必須の部品です。
ブレーキパッドには苦い経験があります。
車中泊で旅行している時にパッドの残量が無くなり、サイドブレーキを引きながら最寄りのディーラーに駆け込みました。
パッドの残量がゼロなのは言うまでもありませんが、パッドの座金がディスクローターを削ってしまい、ディスクローターとブレーキパッドを交換。余計な出費をしてしまいました。
DIYでメンテナンスするようになったきっかけでもあります。
ブレーキパッドの残量の確認方法
ブレーキパッドの残量チェックは、タイヤを外してブレーキキャリパーの点検窓から目視で確認することが出来ます。
タイヤのローテーションの時には必ずチェックするようにしています。
日頃からチェックしていたので分かっていましたが、50000kmを越えたあたりから、4枚あるブレーキパッドのうち、1枚だけ極端に摩耗しているパッドがありました。
その頃は、1~2㎜くらいの差だったのですが、165000kmを超えた現在は1枚だけ摩耗が激しくなっています。
ブレーキパッドの摩耗限界は、点検窓から見えるブレーキパッドの溝の有無で判断できます。
画像のブレーキパッドの溝が、右側はまだ十分確認できるのに対して左側はほぼ確認できません。
ここまで消耗していると要交換ですが、交換時には左右両方のパッド交換が基本です。
また、ディスクパッドには「パッドウェアインジケーター」と呼ばれる金属製の金具が取り付けられていて、パッドが限界摩耗まで擦り減るとディスクローターと接触して”キーキー”音で知らせるようになっています。
ただ、自分でブレーキパッドを交換した時には、パッドウェアインジケーターが装着されていませんでした。
メンテナンスノートには音で知らせる旨の記載があったので、パッドを外した時に一緒に外れてしてしまったのかもしれません。
自分でパッド残量を目視して確認しているので問題はありませんが…。
ブレーキパッドの交換時期は、ドライバーの運転の仕方で大きく変わります。
距離で判断するなら、3~50000kmでの交換が平均らしいですが、これは頻繁に急ブレーキをかけるドライバーに当てはまる場合ではないかと思います。
車検整備に出した時は、整備士がパッドの減り具合を見て、次の車検まで持つかどうかの判断で交換されることになります。
自分はDIY整備なので、パッドが限界を迎えた165000kmで初めての交換となりました。
社外品のブレーキパッドと純正品のブレーキシム
購入したブレーキパッドは純正同等品です。
社外品ならば、純正品の半額くらいで購入できます。
ブレーキパット MD-253 ミヤコ製ディスクパッド4枚1組
いままでトラブったこともありませんし、評判の良いメーカーならば問題ありません。
ネットで検索していると、シム付きのブレーキパッドが販売されていました。しかも、純正のシム代で買えます。
以前、チェックのついでにブレーキパッドを取り外した時に、パッドにはめ込むブレーキシムを曲げてしまったので新品に交換します。
これは単品の社外品が無いのでディーラーに行って購入しました。
純正品番:MR955077 シムセット Fブレーキ
ブレーキキャリパー取り外し
ブレーキパッドを交換するには、ブレーキキャリパーを固定している上下2本の14ミリのスライドピンのうち、下側のスライドピンを外します。
スライドピンは40N・mを超えるトルクで締め付けられているので、長いスピンナーハンドルを使って外します。
ブレーキパッドを交換するだけならば、下側のスライドピン1本を外すだけで済みます。
下側のスライドピンを外すと、キャリパーは上側にあるスライドピンを支点にして回転させて持ち上げることが出来ます。
ディスクローターも摩耗してしまっていて、パッドがローターに食い込んでいる時は、マイナスドライバーをパッドとローターの隙間に入れて隙間を広げると持ち上がります。
持ち上げたキャリパーを見てみると、キャリパーからはピストンが飛び出ています。
これは、ブレーキパッドが擦り減ってしまった分だけ押し出されたためで、新品のパッドに交換するとキャリパーを元の位置に取り付けられません。
ピストンをウォーターポンププライヤーで挟んでキャリパー内に戻しておきます。
ウォーターポンププライヤーでピストンが傷が付くのが嫌なら、専用のツールがあります。
ディスクブレーキセパレーター STRAIGHT/19-412
ピストンがシリンダーに戻っていくと、ブレーキフルードがリザーバータンクに押し戻され、タンクからフルードが溢れてしまう可能性があります。
リザーバータンク内のフルード量が多ければ、あらかじめフルードを抜き取っておきます。
ブレーキパッドは左右2枚づつセットされています。
1枚はブレーキキャリパーに、もう1枚はブレーキサポートに取り付けられていて、この2枚でブレーキローターを挟んで車輪の回転を制動しています。
キャリパー側のブレーキパッドは、パッドに付いている金具で挟まれている上に、パッドにある突起とキャリパー側にある凹部の穴にハメ込まれてブレーキキャリパーに固定されています。
パッドを押し込んで、突起をキャリパー側の穴から外しながら外側に向かってパッドを抜き取ります。
もう1枚のパッドはブレーキサポートにハメ込まれているだけです。
パッドをブレーキサポートから外します。
今回は、ブレーキキャリパーもチェックしたかったので、固定しているスライドピンを2本とも外して丸ごと取り外しました。
キャリパーにはブレーキホースが付いているので、自由に取り回すことが出来ません。
2本のスライドピンは、先端の形状が異なるので要注意です。
外す時によく見て覚えておかなければいけません。
画像上の、先端にゴムが付いているピンが上部、下のピンがキャリパー下部になります。
年式によっては取り付けが逆になっているので要注意です。
下側のスライドピンに焼けたような跡があるのが気になります。
パッドの片減りの原因はこれかもしれません。
取り付ける前に、スライドピンに薄くグリスを塗っておきます。
塗ってあったのは黒色のグリスだったので、モリブデンラバーグリスではないかと思います。
シムの交換とブレーキパッド取り付け
ブレーキパッドはキャリパーの内側と外側で形が違っていて、外側のパッドには裏に取り付け金具が付いています。
ブレーキパッドを取り付ける前にブレーキの鳴き防止にのため、パッドとシムとの接触部分に薄くグリスを塗っておきます。
外側のパッドをキャリパーに嵌め込みます。
ブレーキパッドについている金具でキャリパーを挟み込むように押し込み、パッドにある丸い凸部2か所とキャリパーにある凹部2か所がピッタリ合う位置まで嵌め込んで行きます。
ブレーキローターは引き抜くことができ、作業の邪魔なら取り外して作業します。
ブレーキローターも、摩耗していれば研磨することになりますが、費用は新品を購入した方が安いかも知れません…。
ミニカ H42 H47 フロント ブレーキローター 左右セット
内側のパッドは、キャリパーを固定するブレーキサポート部にあるクリップの溝に嵌め込みます。
上側のスライドピンを先に取り付けて、ブレーキシムを引っ掛けないようにゆっくり元に戻し、もう1本の下側のスライドピンを取り付けます。
ブレーキローターと内側のブレーキパッドをキャリパー内に挟み込んで取り付けます。
上手く嵌らないときは、ブレーキローターが奥まで正確な位置にあるか確認します。
取り付けられたら上のスライドピンを挿し込んで締め付けます。
上下2本のスライドピンの締め付けトルクは44±5N・mです。
ブレーキキャリパーを横方向に動かして、軽くスライドするかの確認もしておきます。
滑らかにスライドしなければ、スライドピンに何らかのトラブルがある可能性があります。
最後に、ブレーキを何度か踏んでパッドとディスクローターを密着させます。
パッドが馴染むまでは走行注意です。
社外品のブレーキパッドに交換した場合には、パッドウェアインジケーターが装備されていない場合が多いので、今後はマメにパッドの残量を確認することになります。
ブレーキパッドの片減り
取り外したブレーキパッドを比較してみると、1枚だけ異常摩耗していることは一目瞭然。
このパッドだけ、常にディスクローターに接触していたことになります。
スライドピンかキャリパーピストンに問題があると思われますが、ピストンに固着は見られませんでした。
スライドピンも特に問題無いようですが、焼けたような跡があったので微妙に曲がっている可能性も否定できません。
スライドピン交換・ブレーキキャリパーのメンテナンスを視野に入れながら、今回はパッドの交換のみで様子を見ることにしました。
※追記
キャリパーメンテナンスをしました。
ブレーキキャリパー オーバーホール