クーラント交換
車検毎の交換が鉄則
クーラントは、エンジンを冷却するための不凍液のことで、正式名称はロングライフクーラント(LLC)と言います。
エンジンを冷却するだけならば水道水で構いませんが、冬に凍結しないようにエチレングリコールが主成分になっています。
また、エンジン内部の錆を抑えるため防錆剤や消泡剤等の添加物が入っています。
一般にクーラントは、2~3年でその機能の寿命を迎えます。
ちょうど車検の時期と重なることから、車検毎の交換が望ましいとされています。
最近では、4年間・10万キロ無交換のスーパーロングライフクーラントと呼ばれる長寿命タイプの高性能クーラントが市販されています。
自分で濃度調整できる原液タイプと最初から濃度調整されている希釈タイプがあり、個人的には希釈タイプのモノはクーラント濃度に要注意かと思います。
【呉工業】ラジエターシステム スーパーロングライフクーラントNEW(青) 2L
また、劣化したクーラントに加えるだけで性能を復活させる、クーラント交換不要を謳う添加剤もあります。
ヤシマ化学 カークール クーラント復活剤 α 250ml RA-106
格安車検では、クーラントの様な定期交換をするべき工程を省略していることが多く見受けられます。
その結果、液漏れやラジエーター内の錆の発生等のエンジン不調に陥り、後で多額の修理費を支払うことになります。
クーラント購入の注意点
市販されているクーラントには濃度が表示されています。
「そのまま使える」と書かれていて、本当にそのまま使うと酷い目に合います。
車のメンテナンスノートには、充填するクーラントの量が書かれていて、それに合わせてクーラントの濃度を調整しなくてはいけません。
濃度の調整は、住んでいる地域の気候によって異なります。
寒冷地では凍結防止のため高濃度に、それ以外の地域では低濃度になるように、それぞれ30~60%の範囲で使用します。
購入したクーラントには、それぞれの濃度での凍結温度が表示されています。
しかし、高濃度になると冷却能力が下がってしまうので、適正な濃度管理が必要になってきます。
ミニカの場合、充填するクーラントの量は外部タンクの量も含めて4L。
充填するクーラントの量が2Lで濃度が95%のモノならば、水道水を加えた後のエンジン内のクーラントの濃度は47.5%になります。
これが同じ2Lで濃度が50%のモノだと、水道水を加えた後のエンジン内のクーラントの濃度は25%になり、濃度が不足します。この場合、濃度50%のクーラントを4L入れる必要があります。
しかも厄介なのが、エンジン内の古いクーラントを全て排出することが出来ず、どうしてもエンジン内に水が残ってしまうことです。
エンジン内に残った水の量も計算に入れてクーラントを注入しなければならないのです。
ラジエーター洗浄とクーラント抜き
今回は、リザーバータンク内に錆が溜まっているのを発見したので、ラジエーター洗浄剤を使ってみることにしました。
ラジエーター洗浄剤はエンジン内の錆を落とす薬品で、使用後はエンジン内部を水で洗い落さないとエンジン内部が腐食する恐れがあります。
使用するラジエーター洗浄剤は無難なメーカーのモノにしました。
ラジエーターキャップを外してクーラントを適量抜き取り、洗浄剤を投入。
キャップを閉め、エンジンを始動して20分間アイドリングさせます。
エンジン停止後、ラジエーター下部にあるドレンコックを開けてクーラントを排出。ヤケド注意。
クーラントの管理が悪いと、錆だらけの茶色い水が出て来ますが、元の緑色でひと安心。
このまま暫く放置してクーラントを抜きます。
抜き終わったらドレンコックを閉め忘れないように。
冷却水経路の洗浄
残念ながら、全てのクーラントは排出できません。
排出できるのはラジエーターとホース内のクーラントで、エンジンのシリンダーブロックとヒーターコアには古いクーラントが少量ですが残っています。
冷却水の流れる経路にはサーモスタットと呼ばれる部品が取り付けられていて、これが冷却水の水温によって開閉する仕組みになっています。
低温時はサーモスタットが閉じていて、シリンダーブロック内部でクーラントが循環して、ラジエーターまで水が回らないようになっています。
これが、水温が高くなるとサーモスタットが開き、エンジン全体にクーラントが循環し始めます。
水道水をラジエーターから注入してエンジンをかけ、サーモスタットが開くまでしばらく放置して、エンジン全体に水を回します。
こうしないと、古いクーラントがエンジン内に残ってしまうため、サーモスタットを開くことは非常に重要です。
また、ヒーターコア内にも水を循環させるため、ヒーターの室内温度調整のダイヤルは高温側いっぱいに回しておくことも必要です。
”水を注入する→エンジン始動→サーモスタットが開く→水の循環→エンジン停止→水を排出する”を繰り返していくことで、エンジン内の古いクーラントを水道水に入れ替えていくため、時間と根気のかかる作業になります。
水道水を豊富に使うことが出来れば、エンジンをかけた状態で、ラジエーターにホースを突っ込んで水を出しっ放しにしておき、ラジエーターの下にあるドレンコックからの水の排出量を調整しながら、注入する水の量と排出する水の量を同じにすることで、常にエンジン内の水の循環を保った状態にします。
こうすることで、上からは新しい水が入り、下からは古い水が出ていくので、楽に古いクーラントを抜くことが出来ます。
ドレンコックから排出される水がほぼ透明になったら、クーラント抜きは終了です。
初めてクーラント交換を行った時に、丸1日かけて洗浄作業をしましたが、いつまでもうっすらと古いクーラントの色が残っていました。
完全に透明な水にはならないので、適当に切り上げます。
シリンダーブロック内の水抜き(補足)
エンジンには、シリンダーブロック内のクーラントを抜くためのドレンプラグがあります。
車種によっては目で確認すること出来ないだけでなく、手が届かない場合もありますが、ミニカの場合、ナンバープレートを外した奥にあり、アクセスは容易です。
ただし、作業空間が狭い上にボルトの締め付けトルクが大きく、外すには延長ソケットを使わないと作業が出来ません。
安易に手持ちのラチェットで外せると思ったら大間違いで、長いスピンナハンドルと延長ソケットが必要です。
この作業は、必ずしも行わなければならない作業ではありません。
作業工程が少し楽になるだけです。
個人的には、ここからシリンダーブロック内のクーラントが全て排出できているとは思っていないので、気休め程度に行っています。
クーラント充填
購入したクーラントは、2Lで濃度が88~93%のモノ。
安い割には問題なく使えるので、最近はこれを使用しています。
【シーシーアイ CCI】エコロジーパック JISタイプ ロングライフクーラント グリーン
充填後の濃度の計算方法(%)は、(購入したクーラントの量)×濃度(%)÷(車のクーラント量)。
ミニカの場合、最低でも 2(L)×88(%)÷4(L)=44(%) は確保され、濃度は指定範囲内にあり、問題ありません。
ドレンコックから水を抜き切った状態から、ドレンコックを閉めたことを確認して、ラジエーターからクーラントを注入します。
リザーバータンクにもクーラントを入れるので、適量は残しておきます。
量的にクーラントが溢れることはありません。この後、ラジエーターから溢れる寸前まで水道水を入れていきます。
エア抜き作業
冷却水を入れても、作業はまだ終わりません。
冷却水経路内には空気が混入しているので、必ずエア抜き作業を行います。
空気が混入した状態ではクーラント不足のため、オーバーヒートの原因になります。
クーラントのエア抜き作業のためのクーラントチャージャーがあれば楽です。
ただの貯水タンクなのですが、ラジエーターのキャップ部分と口が合っていて、クーラント漏れの心配がありません。
ペットボトルを加工して代用する人もいますが、ラジエーターの口と合わないので、周辺は水浸しになっています。
自分は、ホームセンターで見つけた口の合うビニールホースを使っていて、クーラント経路の洗浄でも使っています。
ホースから見える程度まで水道水を注入してエンジンをかけます。
暫くすると、サーモスタットが開き、冷却水が循環していくと、時折、気泡が上がって来て水が減って行くので、その都度水を足していきます。
ラジエーターホースを揉んでやると気泡が上がって来やすくなります。
30分くらいアイドリングして、気泡が上がって来なくなれば、作業は終了。
ただ、やはりラジエータからホースを抜く時にクーラントが溢れて周囲が水浸しになってしまいます。
リザーバータンク内にもクーラントを入れ、水道水で濃度調整を行います。
エンジン始動のたびに、タンク内の水はラジエーターを往復して、最終的にはエンジン内のクーラントと同じ濃度になるはずなので、水の量がHighとLowの間にあれば、こちらの方は適当な濃度で構わないと思います。
それよりも、ラジエータ内には微量ながらエアーが混入している可能性があるので、クーラント交換後も暫くはタンク内の水の減少に注意しなくてはいけません。