ドラムブレーキ オーバーホール① 分解・清掃
車検毎にメンテナンス
一般の軽自動車は、フロントがディスクブレーキ、リアがドラムブレーキになっています。
ブレーキキャリパーの取り外しは簡単ですが、ドラムブレーキの分解は難度が高くなります。
しかもミニカの場合、ハブナットの締め付けトルクの適正値が決められているため、興味本位で触れることは非常に危険です。
ドラムブレーキはドラムを取り外さないと、ブレーキシューのライニング残量やフルード漏れをチェック出来ません。車検毎にメンテナンスをするのが普通です。
ブレーキをかけた時、リアブレーキはフロントブレーキほどの荷重がかからないので、ブレーキシューの消耗はブレーキパッドほどではありません。
特に自分は、数台前の車や、遥か先の信号を見ながらアクセルをゆるめるので、余りブレーキを強くかけることは無く、ブレーキシューの交換は、今まで1度も交換したことがありません。
ハブナット
ドラムブレーキを分解する時に、必ず必要なものがリアのハブナットです。
セルフロック式のナットで、自然に緩むことが無いように設計されています。
純正品番 MR319634 ナット ホイールハブ
社外品がいくつかあります。
SUN製ハブロックナットRN401(MR319634、43231-6A0A0)
ロックナット 2個セット MT-1 純正品番MR319634
1度使用したものは、再使用すると走行中にタイヤが外れる可能性があるため、再使用禁止になっています。
ブレーキドラム取り外し
ハブナットをカバーしているセンターキャップを外します。
細いマイナスドライバーを隙間に入れて軽く叩き、少しずつ隙間を広げていきますが、強く叩き過ぎると、センターキャップを変形させてしまうので要注意。
ある程度隙間が出来たら、隙間に何か引っ掛けて引き抜くと「スポッ」と抜けます。
キャップを外すとハブナットが見えます。
ハブナットの大きさは24㎜。短いラチェットレンチでは外れないので、長いスピンナーハンドルを使います。
普通のナットは、1度緩めると、あとは手で回して外すことが出来ますが、ハブナットはセルロック式になっていて若干固いので、手で回せる位置までスピンナーハンドルを使って外します。
PWT 1/2インチ 12.7mm スピンナーハンドル 590mm
ドラムを手前に引っ張って外しますが、サイドブレーキをかけたままだとドラムはビクともしません。
サイドブレーキを解除することを忘れずに。
ドラムは、基本的に車検の時以外は外すことない部品です。
ドラムブレーキの中には、2年分のブレーキダストが溜まっているはず。
このまま分解作業を続けるとブレーキダストを吸い込むので、ブレーキパーツクリーナーを吹きかけ、大まかに掃除します。
ブレーキ分解と清掃
いよいよ分解に取りかかります。後で見比べるために、分解する前に写真を撮って置いた方が良いでしょう。
特に、スプリングは全部で3本あり、引っ掛ける場所も分かりにくいです。
ホイールシリンダーそばにあるスプリング①を、アジャスターレバーから取り外します。
手で外そうとしてもビクともしないので、工具を使って外します。
ブレーキシュー下のスプリング③も外します。それぞれのスプリングが、どの位置に引っ掛けてあったか記録しておかないと後で分からなります。
ブレーキシューを固定しているシューホールドスプリングとシューホールドピンを取り外します。
ブレーキシュー中央にあるスプリングリテーナーが、シューホールドピンで固定してあるので、専用工具が無ければプライヤーで挟んで90°回転させると外れます。
スプリングリテーナーを傷つけたくなければ専用工具を使います。
シューホールドスプリングを外し、バックプレート下部ののアンカー部からブレーキシューを外して…。
ブレーキシュー全体を少し下にずらし、シューをホイールシリンダーから外して手前に引くと、部品全体がごっそり外れます。スプリングを無理に広げる必要はありません。
後ろに隠れていたスプリング②が見えてきます。
スプリング②とアジャスターの取り付け位置を記録。
ブレーキシューにはめ込んであるアジャスターを取り外します。はめ込み位置を記録。
このアジャスターは、ブレーキシューとドラムとの隙間(クリアランス)を詰めるための装置で、サイドブレーキを引くたびに自動調整する仕組みになっています。
ブレーキシューのパーキングレバーは、サイドブレーキワイヤーに取り付けられています。
スプリングを縮めてサイドブレーキワイヤーを取り外します。
シューホールドピンは、バックプレートの裏側から取り付けられています。
ホイールシリンダーのブーツをめくって、ブレーキフルード漏れが無いことを確認。
ブレーキフルードが漏れている時は、ホイールシリンダーカップ交換か、ホイールシリンダー交換をしなければいけません。
バックプレート周辺のブレーキダストや古いグリスをパーツクリーナーで清掃。
画像は左車輪のモノ。前オーナーの車検費用内訳では、ホイールシリンダーが1度交換されていて、交換費用は16800円。
外した各部品。点数はそんなに多くありません。
組み立て自体はガンプラを造るよりも簡単だと思います。
アジャスターも分解して、全ての部品と取り外したドラムをパーツクリーナーで清掃。