ドラムブレーキ・ホイールシリンダー カップ交換
車検前のオーバーホール
ドラムブレーキのブレーキシューを駆動するホイールシリンダー内には、ピストンがはめ込まれていて、このピストンには、ブレーキフルードの漏れを防止するためのゴムカップが取り付けられています。
ゴムカップは、長年のブレーキ操作による摺動によってその機能が劣化していき、ブレーキフルード漏れを起こしてしまいます。
最悪の場合、ブレーキが効かなくなってしまうため、定期的な点検・交換が必要です。
車検前には、必ずドラムブレーキを分解して問題ないかチェックしています。
ただ、ホイールシリンダーに関しては、ブーツをめくってフルード漏れの確認程度で、ピストン内部の異常までは確認していませんでした。
走行距離はすでに24万km。ホイールシリンダーからのブレーキフルード漏れは見られません。
ドラムを分解した時の、ホイールシリンダー表面に見えるサビが気になって、カップキット交換に踏み切りました。
部品の取り外し
車検前に行っている点検と変わりません。習慣的に右側から取り掛かっています。
手慣れた手つきでサクサク分解していきます。
工程については、ドラムブレーキ オーバーホール① 分解を参照。
今回は、ここからホイールシリンダーのピストンを引き抜きます。
引き抜いた瞬間、ブレーキフルードが漏れてきます。
リアブレーキの配管は、スチールパイプでホイールシリンダーに直結されています。
フロントブレーキキャリパー オーバーホールのように、ブレーキホースにクランプを挟んでフルード漏れを防ぐことが出来ません。
パイプを外してキャップで栓をしてもよかったのですが、面倒くさいので、フルードダダ洩れでの作業をすることにしました。
漏れ出てくるフルードの量は大したことはありませんが、道路にフルードを撒くわけにはいかないので、紙コップで受けました。
最終的に漏れるフルードの総量は、コップ1杯分くらいでしょうか…。
ピストンを引き抜いた瞬間、フルードとともに中にあったスプリングも落ちてきました。
反対側の方が高い位置にあるので、そっち側を引き抜けばよかったと思いました。
スプリングは、円錐ばね(テーパーコイルスプリング)になっていて、取り付け方向には注意が必要です。
ホイールシリンダー清掃とカップ交換
シリンダー内部にサビ等は見られなかったので、内部を軽く掃除しました。
シリンダー内に軽度のサビがあれば、ピカール等で内側を磨いて、錆を取り除く必要があります。
磨く時は、シリンダー内についた小さな傷を通ってフルード漏れを起こすことがあるため、ピストンの可動方向に磨く方法は適切ではありません。
可能ならば、シリンダー清掃専用のブラシで磨くのが望ましいと思います。
サビが酷い場合は、ホイールシリンダーAssy交換になります。
ピストンは、うっすらとサビているように感じたので、ピカールで磨いておきました。
ゴムカップ取り外しですが、カッターで切れないくらい非常に硬く、ピックツールを使って取り外すことが出来ました。
ピストンは、新しいカップを取り付ける前に清掃して、薄くグリスを塗っておきました。
交換したホイールシリンダーカップキットは純正品番MB082497。
純正品は曙ブレーキ製で、メーカー名が思いっ切り刻印されていました。
ミニカのカップキットには、サイズがABS無しの5/8と、ABS有りの11/16があるので要注意です。
どちらか分からなければ、ホイールシリンダーに刻印されています。
ピストンのゴムカップ交換ですが、完全にナメてかかっていました。
たかが、ゴム部品を交換するだけなのですが、このゴムが硬い硬い。
色々試しても上手くいかず、ピストンを地面に置いて、カップを上から体重をかけてやっと嵌めることが出来ました。
このゴム部品、少々手荒なことをしてもビクともしません。
一応、説明書に専用ツールを使う旨が記載されていましたが、まさかこんなに手こずるとは思わなかったので、用意していませんでした。
シリンダーカップコーンセット 4ピース STRAIGHT/19-7849
カップを取り付ける方向にも注意が必要です。
ゴムが肉厚になっている部分が、圧力のかかるピストン断面側になるように取り付けます。
ブレーキシューが当たる側には、ダストブーツを取り付け、全体に薄くグリスを塗っておきました。
ピストン取り付け
ここまで来れば、後は楽勝です。シリンダー内にピストンを挿入していきます。
取り付け順は、低い側のピストン→スプリング→高い側のピストンの順が良いでしょう。
取り付けるスプリングの方向は、シリンダーの低い位置にある方が径の大きい方になります。
車のフロント方向が細くなると言えばよいでしょうか…。
ピストン取り付けは、素手で押し込めば入って行きます。
購入したカップキットには、グリスが付属しているので、ピストンだけでなく、ダストブーツにも塗りたくって水の侵入を防ぐことにしました。
反対側は酷いことに…
左側のドラムブレーキのホイールシリンダーは、サビッサビになっていました。
ピストンが固着していて、素手で引き抜くことが出来ず、プライヤーを使って抜きました。
これはもうホイールシリンダーAssy交換になりそうです。
因みにこの後、歯ブラシにピカールを塗って、シリンダー内を延々と磨くことになりました。
ピストンの方も錆びていて、いつまで磨いても埒が明かないので、適当に切り上げ、応急的にカップ交換しました。
後日、部品Assyを購入してホイールシリンダー交換しました。
ピストン取り付け後は、ドラムブレーキを外した順の逆で組付けていきます。
この後、ブレーキのエア抜き→ブレーキシューのクリアランス調整の順で作業します。
ブレーキフルードがほとんど抜けているので、結構な量のフルードが必要でした。
作業工程は、ブレーキフルード交換とドラムブレーキ オーバーホール② 組立・調整を参照。
大した作業でもないのに、外見上問題無さそうだと見過ごしていたおかげで、後になって大変な労力と費用を払う羽目になりました。
車検毎とは言いませんが、問題なくても定期的に交換するべきだと思い知りました。