ドラムブレーキ・ホイールシリンダー交換
ホイールシリンダーのサビ
ホイールシリンダーは、取り付けられたブレーキシューを、油圧で広げることによってドラムの回転を制御するドラムブレーキの心臓部です。
車検毎の点検事項の1つになっていて、修理工場では、シリンダー内部にサビが見られた場合は無条件で交換が鉄則になっています。
車検前のドラムブレーキ点検時で、ホイールシリンダーのカップ交換をしようとしたら…。
サビだらけ。ピストンも固着していて、プライヤーで引き抜く始末。
シリンダー内もしっかり錆びていたので、最後の悪あがきで歯ブラシにピカールを塗って、思いっ切り中を磨いてみました。それでもここまで。
中には薄くサビが残り、ピストンの跡が溝を作っています。
指を突っ込んでみても中はザラザラの状態で、フルード漏れを起こすのは時間の問題と判断。
あえなくホイールシリンダーAssy交換となりました。
早速、部品購入に動いて値段を確認。
ミニカのホイールシリンダーには、ABS有とABS無の2サイズがあるので要注意です。
自分はABS無の、純正品番MR527734。
部品の選択肢は、純正か社外品2種類の3つしかありませんでした。
制研化学工業 ブレーキホイールシリンダー 130-30258
ミヤコ自動車工業 ブレーキホイールシリンダーASSY WC-G276
純正品は7000円以上もして、値段を見た瞬間、買う気が失せました。
結局、1番安いやつを購入しました。
ホイールシリンダー取り外し
ドラムブレーキを分解します。
詳細はドラムブレーキ オーバーホール① 分解・清掃を参照。
ホイールシリンダーは、バックプレート裏側から10mmボルト2本で固定されています。
ブレーキラインは、ホイールシリンダーに10mmボルトで直結されています。
ブレーキラインを外す時に気付いたのですが、ブリーダープラグ周辺からブレーキフルードが漏れていました。
外側からも要交換のサインが出ていたわけです。
ブレーキラインを取り外す時に、パイプにかかる負担を軽減するため、リアサスペンションでパイプを固定しているステーを外しました。
取り外さなくてもホイールシリンダーの交換は出来ると思います。
ホイールシリンダーに繋がっているブレーキラインの10mmボルトを外します。
ブレーキラインは、ブレーキホースまで一体型になっているためラチェットレンチが使えず、ナットを舐めて破損させるとホースを丸ごと交換になってしまいます。
ここは、ボルトをがっちり固定できるフレアナットレンチを使って外します。
ホイールシリンダーを固定している2本のボルトを先に外してしまうと、ブレーキラインのボルトを外す時に、ブレーキラインに負荷がかかり過ぎるので、先にブレーキラインのボルトを外した方が良いです。
ホイールシリンダーを固定しているボルト2本を外して、ブレーキラインを動かさないでホイールシリンダーを手前に引いて外します。
ブレーキラインのボルトが外れた瞬間、ブレーキフルードが漏れてくるので、ブリーダープラグに付いていたキャップで栓をしました。
新品取り付け
購入したホイールシリンダーは、左右ともに同じ品番で同一の部品ですが、シリンダー内部には先細りのテーパコイルスプリングが挿入されています。
取り外したホイールシリンダー内のスプリングは、シリンダーが低い位置の方が、径の大きい側にセッティングされていたので、新品の中を見て同じように挿入し直しました。
詳細はドラムブレーキ・ホイールシリンダー カップ交換を参照。
新品のホイールシリンダーをはめ込み、バックプレート裏からボルト2本で締め付けます。
ブレーキラインを取り付けて、ボルトをフレアナットレンチで締め付けます。
締め付けトルクを知らないので、外す前にマーカーで印をつけておいた位置まで締めました。
外した部品をもとに戻して、ブレーキフルードのエア抜き作業の前にドラムブレーキを組み立てます。
組立て前にエア抜きを行うと、ピストンが何処かへ飛んでいきます。
ホイールシリンダー交換作業は非常に簡単でした。
ブレーキフルードのエア抜きと、クリアランス調整の作業の方が余程面倒です。
ブレーキ組立て→ブレーキのエア抜き→ブレーキシューのクリアランス調整の順で作業します。
詳細は、ブレーキフルード交換とドラムブレーキ オーバーホール② 組立・調整を参照。
前回点検したときは、錆が発生しているようには見えませんでした。
今回の錆の原因は、前回のオーバーホール時に、ブレーキパーツクリーナーを吹き付けてダストカバー内のグリスまで吹き飛ばしてしまったことが原因ではないか?と考えています。
今回は、ダストカバーの内部と外周にもグリスを塗り、外部からの水分の侵入を防げるのか、様子を見ようと思います。
何より、そもそもの原因は、フルード漏れを嫌ったことによる、ピストンを引き抜いてのサビの確認を怠っていたことでした。
本来ならば、1000円程度の部品交換をすれば済む問題だったのです。
それをしなかったことが、後になって、大きな出費と労力を強いられることになりました。
自分でメンテナンスしたので部品代だけで済みましたが、修理工場で交換してもらった場合は、1万円以上の修理費になります。