エンジンマウント交換
エンジンルームからの異音
エンジンマウントは、車両のシャーシとエンジンに連結されている、エンジンを車体に支えるだけでなくエンジンの振動を抑え、路面やエンジンから発生する反力によってエンジン自体が動かないようにするための重要な部品です。
エンジンマウントが寿命を迎えた初期症状としては、車を加速させるとエンジンルームから「キュキュ」っと音がしたり、シフトアップしてクラッチを繋ぐと「ガクン」と大きな衝撃が起こる症状が発生します。
末期症状は、エンジンマウント内のゴム部分がちぎれてしまい、エンジンを横に揺すってみるとグラグラと揺れます。
ほぼ定期交換部品
交換するエンジンマウントは、「ミッションマウント」と言われるミッションケースのそばにあるエンジンマウントです。
純正品番MR319230 ブラケットM/T
ミニカにはエンジンの前後と左側の、計3か所にエンジンマウントが取り付けられています。
特にミッションを支えているミッションマウントは10万キロオーバーで寿命を迎え、交換することになります。
初回のエンジンマウント交換が125000㎞で、2回目の交換が278000㎞。
実際には25万キロを過ぎた頃から初期症状を認識していたので、私のミニカの場合は、12万キロ周期でエンジンマウントが寿命を迎えています。
3G83エンジンのジャッキアップ
今回交換する部品は、エンジン本体をボディに固定しているパーツなので、車をジャッキアップして、さらにエンジンを浮かせるために下からジャッキで支えます。
エンジンマウントにかかる力をフリーにするためにジャッキの位置を微調整します。
ジャッキが小さいので、バランスが不安定になるかと思いましたが大丈夫でした。
タイヤハウス・カバー外し
今回交換するのはミッション側のエンジンマウント。
3つあるエンジンマウントのうち、一番交換されるエンジンマウントで、交換作業が楽な場所です。
とりあえずタイヤを外し、奥にあるタイヤハウスのカバーを取り外します。
ここは、2本のボルトと2つのプラネジで留められています。
ここで、特に注意するのがプラネジです。
プラネジ後ろに、KTC製のような厚みの薄いクリップリムーバーを挟み込んで、手前に浮かした状態で回さないと空回りします。
しかも、ネジ穴が柔らかく、ドライバーで何度も外していると、プラネジの頭が潰れてしまい、ドライバーが使えなくなります。
何度か同じ失敗を繰り返していて、その都度、強引に引きちぎりました。
どんなに丁寧に外しても、次第にネジ山が潰れていきます。ここも定期交換部品です。
このクリップは、バンパーを固定しているクリップと共用です。
純正品番MB253964 クリップフロントバンパー
社外品ならもっと安く入手できます。
タイヤハウスのカバーを外すとエンジンマウントが正面に現れます。
丁度、正面にあるため、交換作業は非常に楽です。
エンジンマウント取り外し
固定されている3本のボルトを外して、古いエンジンマウントを取り外します。
一番上のボルトは両方を回さないと共回りするので、メガネレンチをシャーシに引っ掛けて固定し、反対側のボルトをスピンナーハンドルで回しました。
高トルクで締め付けられているので、短いラチェットレンチでは回せません。
PWT 1/2インチ 12.7mm スピンナーハンドル 590mm
この作業は1番上のボルトだけで、残りの下2つはナットが溶接されているので必要ありません。
エンジンを支えるジャッキの位置に問題が無ければ、ボルトはスムースに外せます。
ボルトが抜けなかったり、外している最中にエンジンが動くようならば、いったん作業を中断して、ジャッキを支えなおした方が安全です。
ボルトを取り外して、エンジンマウントを抜き取ります。
エンジンを支えているジャッキの位置が不安定だと、連結部がズレてしまい、エンジンマウントを抜き取ることが出来ません。
旧品のエンジンマウントは中のゴムの部分がちぎれていました。
前回交換時よりも距離が長くなってしまったので、ゴムが完全に断裂していてエンジンマウントとしての用を為していません。
この状態では、2つのエンジンマウントでエンジンを支えているため、他のエンジンマウントにも悪影響を及ぼす可能性があります。
新品に交換するにあたり、試しに厚さ5mmのゴム板を切り、新品のエンジンマウントの隙間に詰め込んでみました。
余りギッチリ詰め込むと、通したエンジンマウントが動かなくなってしまうため、ある程度動くように調整しておきました。
この結果は、次に交換する機会があれば追記したいと思います。
エンジンマウント取り付け
ジャッキの位置が合っていれば、新品のエンジンマウントに取り換えてネジを差し込むだけで取り付けることが出来ます。何も力を加える必要はありません。
このように、最初にジャッキで支える位置は非常に重要です。
一番上のボルトはメガネレンチの位置を変えて、今度は締め付けていきます。
下の2本のボルトはメガネレンチの必要はありません。
前回交換時に、エンジンマウントのボルトに印を付けて外し、締め付ける時にトルクレンチで測ってみると大体80N・mくらいでした。
今回の交換まで何のトラブルも起こらなかったので、今回のボルト締め付けトルクも、前回同様に80N・mでトルクレンチを使って締め付けました。
大橋産業 バル BAL 2060 トルクレンチ 5pcセット
ボルト3本を取り付け、タイヤハウスのカバーを元通りに取り付けて終了です。
カバーを取り付ける時にプラネジを新しいものに交換しました。
発進時にエンジンルームから音がするようならば、エンジンマウントが怪しいと思います。
些細な部品ですが、たったこれだけでエンジンの異常振動が運転席まで伝わってきます。