ブレーキキャリパー オーバーホール
ブレーキの引きずり
車の発進時のフロントのディスクブレーキからの異音と、暫く走行した後のホイールの異常な熱から、ブレーキが常にかかっている状態であるブレーキの引きずりと判断しました。
ブレーキが引きずりを起こしていても、それに気づかず走行している車は少なくないと思います。
即座に事故を起こすケースは稀だと思いますが、放置していると、ブレーキパッドやディスクローターの過度な摩耗を引き起こして要交換となり、無駄な出費に繋がります。
また、常にブレーキがかかっている状態で走行しているので、燃費悪化の原因にもなります。
ブレーキパッド交換をした時に、バッドの異常な片減りを確認していて、ブレーキキャリリパーに問題があることは把握していました。
走行距離はすでに20万キロを超えていて、とっくの昔にオーバーホールをしなければならない状態でした。
ただ、スキル的な問題から二の足を踏んでいたのですが、ついに重い腰を上げることにしました。
結論から言えば、難易度はそこまで高くはありませんでした。
大切なことは、構造をよく理解したうえで作業を行うことだと思いました。
ブレーキホースの取り外し
ブレーキキャリパーを取り外す前にブレーキホースを切り離します。
ブレーキホースは、ボルトでキャリパーに固定されています。
そのまま取り外すとブレーキフルードがダダ洩れになるので、ブレーキホースをホースクランプで挟み込んでフルードの漏れを止めておきました。
ラインロッククランプ 155mm (STRAIGHT/ストレート)
ブレーキホースのユニオンボルト、キャリパーのスライドピンともに17ミリレンチで外すことが出来ます。
ブレーキホースのユニオンボルトは大きなトルクで締め付けられていないので、短いラチェットレンチでも外すことが出来ます。
ボルトが緩んでくるとブレーキフルードが漏れ出してきます。
ブレーキホースのユニオンボルトには両側にパッキンが付いていました。
純正品番は同じものでしたが、ボルト側のパッキンにはゴムらしきモノが付いていました。
恐らく関係無いのだとは思いますが、取り付け時には元通りにしておきました。
上下2本のスライドピンも外してキャリパー本体を取り外します。
スライドピンは上と下で仕様が異なっています。
上側のスライドピンにはゴムブッシュが付いているので、外した時にどちらのスライドピンか覚えておきます。
スライドピンは古いグリスや汚れを拭き取り、グリスを薄く塗っておきます。
スライドピンに塗るグリスですが、シリコングリスを塗るのをよく聞きますが、実際に見ると黒色のグリスだったのでモリブデンラバーグリスではないかと思います。
ブレーキキャリパーの取り外しの詳細については、ブレーキパッド交換を参照。
エアダスターでキャリパーピストン引き抜き
ブレーキキャリパーからブレーキピストンを引き抜きます。
ピストンは手ではビクともしません。キャリパーの穴から棒を突っ込むか、エアーを吹き込んで押し出すことになります。
エアーコンプレッサーを持っている人には余裕の作業でしょうが、持っていないので、今回まで中々作業に取り掛かる気になれませんでした。
エアーコンプレッサーを持っていなくても、市販のスプレー缶のエアダスターで押し出せます。
ただ、そのままではキャリパーの穴径と合わないので、ブレーキフルード交換で使っていたシリコンホースを取り付け、穴にはウエスを突っ込んで空気が漏れないようにしました。
エアーを吹き込んだ瞬間、パーンとピストンが勢いよく飛び出てくるので、抜く時にはキャリパーに木材等を挟んでおかないと危険です。
ピストンを外したキャリパーには、ダストブーツ、Cリングが付いているので、引き剥がしました。
さらに、シリンダー内部にはピストンシールがはめ込まれているので、ピックでこれも外します。
外したピストンとキャリパーは綺麗に清掃。
運良く、シリンダー内部とピストンは錆びていませんでした。
口の周辺に錆が見られたので、金属磨きの定番であるピカールで磨きました。
ブレーキキャリパー内部のシリンダーの錆が、手の施しようがないレベルであれば再利用は無理だと思います。
純正新品は年式によって異なりますが、2万円オーバーします。
中古パーツショップで検索して探せば安価で済みます。
パーツが破損し、純正新品の購入が高額になるときは中古部品で賄うのも1つの方法です。
車各種メーカーの純正部品、パーツ、中古部品、リビルド品を扱っている通販サイトです。
錆びの被害がブレーキピストンだけならば、新品でも安く抑えられます。
ミニカの場合、ピストンは年式に関係なく1種類しかありません。
ミニカ ブレーキ キャリパーピストン ミヤコ CPA-607B
ミニカ ブレーキ キャリパー ピストン 制研化学工業 150-10607
軽い程度の錆びでも、フルード漏れを起こしてしまうと最初から作業しなおすことになるので、思い切って交換しておいた方が無難です。
ダストブーツ交換
交換するダストブーツの純正品番MR475901、FRブレーキキャリパー・シールキット。
純正品は、片方だけで3000円近くするようなので、価格の安い社外品にしました。
ミヤコ/Miyaco ディスクブレーキ キャリパーシールキット A-607P
セイケン/Seiken ディスクブレーキ キャリパーシールキット260-10607
キャリパーのシリンダー内部に適量のグリスを塗布します。
シリンダー内部の溝に、グリスを塗ったピストンシールをはめ込んでいきます。
このシールでブレーキフルードの漏れを防いでいるので、この作業は非常に重要です。
ピストンをダストブーツに取り付ける前に下準備をしておきます。
ピストン、ダストブーツに適量のグリスを塗り、ダストブーツの向きに注意しながら、先にダストブーツをピストンに取り付けておきます。
指を使って丁寧にゆっくり作業すれば簡単です。
1番難しいと言われている取り付け作業ですが、簡単でした。
奥の溝にブーツをはめ込んで、ピストンを回転させて行くと、自然に溝に沿って嵌って行きます。
最後の出ている部分は、指で丁寧に押さえつけるとニュルっと入ります。
ダストブーツにグリスを多めに塗ると作業しやすいと思います。
そのままピストンを指で押して、キャリパー内部の奥まで挿入していきます。
均等に力をかけ、垂直に押し込んでいきます。
内部のピストンシールで一旦止まりますが、指の力で入って行きます。
最後にCリングを取り付けます。
Cリングを取り付ける箇所は、ダストブーツの溝とシリンダーとの間です。
シリンダーにはダストブーツを嵌め込む溝があり、嵌ったダストブーツをCリングで内側から外側へ向けてシリンダーを押さえ付けて固定するようになっています。
シリンダーの内周に沿って、ダストブーツの1番外側の溝にうずめていく感じでセットすればOK。
ブーツの外周をめくって、Cリングが正確に取り付けられているか確認します。
画像では分かりにくいと思うので、分解する前によく見ておくと良いです。
ブレーキキャリパー取り付け
オーバーホールしたブレーキキャリパーをもとに戻します。
ブレーキキャリパー・シールキットに付属しているスライドピンのブーツも新品に交換しておきます。
先にキャリパーを取り付けた後で、ブレーキホースを取り付ける方が楽だと思います。
ホース取り付け時には、2つのパッキンの取付忘れに要注意。
ホース内は、ブレーキフルードが入っていない状態になっています。
ホースクランプを取り去る前に、ブリーダープラグにワンウェイバルブのついたシリコンホースをセットしておかないと、ブレーキホースにエアが逆流してしまい、エア抜きが面倒になります。
あとは、ブレーキのエア抜き作業をして完了です。
エア抜き作業の詳細は、ブレーキフルード交換を参照。
交換後は若干燃費が向上しました。
また、長距離走行後にホイールが熱くなる現象も解消されました。
やはり、ピストンの動きが悪くなり、ブレーキが引きずりを起こしていたようです。
ダストブーツが破れていないからと言って交換しないのは、やはり悪影響を及ぼすので、定期的なオーバーホールが必要なのだと実感しました。