ミッションオイルシール交換
ミッションケースからオイル漏れ
ミッションオイルシールは、ドライブシャフトとミッションケースの間に取り付けられているオイルシールで、結合部からのミッションオイル漏れを防ぐ役割を果たしています。
オイル漏れを発見しやすく、交換時期の分かりやすい部品です。
車の下を見てオイル漏れがあれば、エンジンオイルかミッションオイルしかありません。
クーラントやブレーキフルードは水っぽいので、オイルとの見分けはつきやすいです。
オイル漏れを起こしている状態では車検には通りません。
ミッションオイルは硫黄成分を含んでいるため、エンジオイルとは異なった異臭がします。
漏れているオイルがミッションオイルならば、ミッションオイルシールかギアシフトシャフトオイルシールかミッションオイルドレンボルトの、どれらかからの漏れの可能性が高いです。
オイル漏れの箇所が分からなければ。オイルを拭き取って再度確認します。
オイル漏れの個所の特定は慎重に行わなければ、劣化していない見当違いな部品を交換してしまうことになります。
ミッションオイルシール
交換するミッションオイルシールの純正品番はMD707184 オイルシール/ミッショントランス。
今回見つけたオイル漏れは左右両側からでした。
初めてシール交換した時は純正品を使いましたが、その後、5万キロ走行したくらいで再びオイル漏れを起こしています。
2回目の交換は、社外品を使いました。
どちらも見た目は変わりませんでしたが、社外品の方は、シールを打ち込むときに力が必要だったので、直径が少しだけ大きいのだと思います。
オイルシール交換は、ミッションオイルを抜く必要があるので、それぞれ異なる時期にオイル漏れを起こすと、その度にオイルを抜くことになり面倒です。
片方が漏れを起こしたら、もう片方のオイル漏れも時間の問題なので、両方交換したほうが賢明だと思います。
ミッションオイルを抜く
ドライブシャフトは、ミッションケース内でミッションオイルに浸かっています。
ミッションオイルシールを交換するには、ドライブシャフトをミッションから抜かなくてはならないため、事前にミッションオイルを抜いておきます。
ミッションオイルの抜き方についてはミッションオイル交換を参照。
足回りの取り外し
タイヤを外して、ブレーキキャリパーの下側のスライドピンを外して引き上げ、ブレーキローターを取り外し、ブレーキキャリパーも取り外します。
ブレーキキャリパーにはブレーキホースが付いていて邪魔になるため、サスペンションに引っかけておきます。
ブレーキキャリパーをナックルに固定しているキャリパーサポートは外さなくても作業できますが、ドライブシャフトを外した時に重くなるので、外してしまいました。
次に外すボルトは4か所で全て17㎜です。
タイロッドエンド部とロアアームボールジョイント部にそれぞれ1か所、サスペンションに2か所あります。
タイロッドエンドはナックルにがっちり固定されていて、ボルトを外してもビクともしません。
以前、ディーラーの整備士が、ハンマーで叩いて外している職人芸的な技を見たことがありますが、素人には専用工具のタイロッドエンドプーラーが無いと難しいと思います。
タイロッドエンドとナックルの隙間に挟み込んで、ラチェトレンチで少しづつ締めこんでいくと、突然「ガコッ」と大きな音がしてタイロッドエンドが外れます。
サスペンションのボルト2本とロアアームボールジョイントのボルトを外します。
外すボルトに順番は無いと思います。
インパクトレンチを使えば楽勝ですが、締め付けトルクを把握するため、右側の作業はボルトにマジックで印をつけておいて外し、トルクレンチで印の位置まで再度締め付け、値を記録しました。
長いスピンナーハンドルがあれば、大した作業ではありません。
PWT 1/2インチ 12.7mm スピンナーハンドル 590mm
1番下にあるロアアームボールジョイントのボルトは、ロアアームが邪魔をしているため、延長ソケットを使わないと入りません。
ボルト3本を外したら、ボールジョイントからナックル部分を外します。
ここが固着していると、かなり手こずります。
ナックルを引き上げると言うよりは、ロアアームを押し下げて外すと外れ易いです。
これでドライブシャフトがフリーになります。
ドライブシャフト取り外し
ドライブシャフトは、そのまま引き抜こうとしても中々抜けません。
それどころか、インナー側のブーツ内で部品が外れてしまいます。
ドライブシャフトは、ミッションケースとドライブシャフトの隙間にプレーバーを挿し込み、てこの原理で外します。
車の下に潜って、プレーバーを隙間になるべく奥まで挿しこんで、ゆっくり軽く抉じると「カコッ」と外れます。
くれぐれも、無理に引き抜こうとしないようにします。
ドライブシャフトを傷つけないように慎重に引き抜きます。
ドライブシャフトを抜くと、残っているミッションオイルが落ちてくるので、下で受けないとオイルまみれになります。
外したドライブシャフトにキズ等があり、修理不能ならばAssy交換になります。
純正新品のドライブシャフトは、半端な値段ではありません。
中古品やリビルド品、社外品で代用することになるでしょうか。
パーツが破損し、純正新品の購入が高額になるときは中古部品で賄うのも1つの方法です。
車各種メーカーの純正部品、パーツ、中古部品、リビルド品を扱っている通販サイトです。
ここまでの作業が、オイルシール交換のための準備作業になります。
修理工場でも同様の作業過程になり、工賃もかかるので、ここまでの作業の途中で交換できるタイロッドエンドブーツやボールジョイントブーツなどの交換もすれば、今後の車の維持費用の節約になると思います。
車検の度に提示される費用を見ると、実際には中々そこまでできないと思いますが、長い目で車検費用にかかる金額を考えれば、1つの選択肢ではあると思います。
オイルシール交換
オイルシールを外しますが、当然手では抜けません。
マイナスドライバーで抉ると、取り付け部周辺をキズつける可能性があるので、専用のオイルシールプーラーを使うのが良いですが、ピックツールでも抜くことが出来ます。
ピックツールを金属部分に触れないように、シールに突き刺してゆっくり引き出していきます。
シールはゴム製なのでちぎれますが、その都度、場所を変えて引っ張り出します。
取り外し作業はここまでになります。
取り付け部をきれいに掃除し、ミッションオイルを塗りつけておきます。
オイルシールにシリコングリスを薄く塗り、ミッションケースに取り付けます。
取り付けには、TS30とTS40の塩ビパイプををうまく使い分けました。
純正品を取り付けた時は押し付けるだけで入って行きましたが、社外品を交換したときはハンマーで軽~く叩きました。
オイルシールはミッションケースとツライチで挿入するので、あまり力を入れて押し込まない方が良いと思います。
取り付け後は、指で撫でて均等に挿入できているか確認します。
オイルシールのような僅か数百円の部品を交換するために、ドライブシャフト引き抜き作業までしなければならないため、修理工場に頼めば万単位の費用になります。
あとは外した部品を逆の手順で取り付けていきます。
ドライブシャフトのケースへの挿入は、スプラインを合わせて根気よく作業するしかありません。
スプラインの位置が合わないと一向に入りませんが、ある瞬間、「スコッ」と力もかけていないのに入ります。
焦って無理な力をかけないことが大切です。
外した部品を逆に手順で取り付けていきます。
ロアアームとサスペンションのボルト3本は共回りするので、締め付け工具は2本必要です。
ボルト3本とも締め付けトルクは110N・mになります。
タイロッドエンドを取り付ける時に、ボルトが空回りして締め付けられませんが、ジョイント部に体重を乗せると締め付けることが出来ます。
部品をすべて取り付け、ミッションオイルを入れて終了です。
オイルの入れ方についてはミッションオイル交換参照。