タイロッドエンドブーツ交換
ブーツからのグリス漏れ
タイロッドエンドブーツは、タイロッドエンド内部のベアリングを保護するためにグリスが充填されているゴムパーツです。
ゴム製なので経年劣化でヒビ割れていき、いずれ破れて中にあるグリスが漏れ出します。
ゴムパーツには、時々ラバー保護剤を吹き付けていました。
そのおかげで、走行距離が20万キロも持ったので寿命としては十分です。
普通、この距離までは持たないと思います。
ラバー保護剤は、ブーツ、ベルト類のゴム製品には、かなりの効果があるのでお勧めです。
タイロッドエンドブーツが破れた状態では車検には通りません。
ブーツ内のグリスが無くなり、内部に水が浸入するとベアリングが錆びてしまいます。
そうなると、タイロッドエンド本体を交換することになり、ブーツ交換よりも高額な修理費用を支払うことになります。
ゴムパーツは車検前だけでなく、日頃から点検しておくべき部位です。
タイロッドエンドの分離
タイロッドエンドブーツを交換するには、タイロッドエンドをナックルから切り離さなければいけません。
熟練者ならば、ナックルをハンマーで叩いて外すことが出来ますが、シロウトには難度が高く、専用工具を使った方が部品の破損を防げるし、安全に取り外せます。
タイロッドエンドのボルトを緩め、プーラーをセットします。
注意するのが、ボルトを完全に外してしまわないこと。
ボルトがネジにしっかり噛んでいる状態で使用しないとネジ山を破損するだけでなく、外れたタイロッドエンドが思わぬ方向に飛んで行って非常に危険です。
セットしたら、タイロッドエンドプーラーのボルトを少しずつ閉め込んでいきます。
外れる瞬間「ガコッ」と大きな音がします。何度作業しても、この音だけは慣れません。
外れると同時にプーラーが落下するので、ヒモでくくっておいた方が良いでしょう。
ブーツの取り外し
タイロッドエンドはロッドに固定されています。
ロッドはユニバーサルジョイントになっていて、ある程度フレキシブルに動かすことが出来ます。
古いタイロッドエンドブーツは潰れきっていて、中にあったグリスがブーツの隙間から少しずつ漏れ出てしまったようです。
タイロッドエンドを、ブーツを外し易い位置に固定し、端の部分を叩いて外します。
下に木材を置いて、プレーバーを当てがってハンマーで叩いて外しました。
外れたブーツには、液体ガスケットが塗ってありました。
普通、単純にハメてあるだけで、液体ガスケットは塗らないはずなのですが…。
グリスも劣化して色が変色しているようで、ちょうど良い交換時期でした。
ブーツの取り付け
ジョイント部分の古いグリスを除去します。
ジョイントをぐりぐりと回していくと、中まで入ったグリスも少しずつ出てくるので、丹念にふき取ります。
ジョイントの可動部分に問題がないことを確認しておきます。
錆が発生していてジョイントの動きが悪ければ、タイロッドエンドAssy交換になります。
三恵工業 スリーファイブ ミニカ タイロッドエンド SE-7301 左右共通
新しいグリスをジョイント部分に塗りつけて、ぐりぐり回してグリスを馴染ませます。
充填するグリスは、シャーシーグリスを使いました。
古いグリスもシャーシーグリスの様で、特殊なグリスを使っても意味は無いと思います。
タイロッドエンドに注入するグリスの量は、ジョイント部分が隠れる程度で十分です。
多すぎるとブーツがパンパンになります。
交換するタイロッドエンドブーツの純正品番はMB616023。
社外品が安いですが、数百円のモノなので、純正でもあまり変わりないと思います。
大野ゴム工業(OHNO) タイロッドエンドブーツ DC-1520
ブーツをタイロッドエンドの上に乗せます。
グリスを充填しすぎるとグリスが漏れ出てきます。グリスの量はほどほどに。
上からブーツの縁を叩いてはめ込んでいきますが、塩ビパイプを使ってハンマーで叩きました。
使った塩ビパイプのサイズは、ホームセンターで売っているTS30のモノがピッタリ合います。
ウォータポンププライヤーがあれば、挟み込んでハメていく方法もあります。
ブーツとタイロッドエンドとの隙間がなくなるまで叩いてインストール完了です。
最後まで叩ききる直前に、隙間にパーツクリーナーを吹き付けて脱脂し、液体ガスケットを塗っておきました。
ただ、ピッタリと嵌っているので水の浸入の心配はなく、液体ガスケットを塗る必要ないと思います。
元に戻す
外したタイロッドエンドをナックルに取り付けます。
タイロッドエンドのジョイント部分はユニバーサルジョイントになっているので、ボルトを締め付ける途中からボルトが空回りして締め付けられなくなります。
タイロッドエンドを上から押さえつけながらボルトを締め付けていきます。
ボルトの締め付けトルクは30~34N・mで締めています。